東京地方裁判所 昭和42年(レ)69号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕まず武蔵野簡易裁判所が昭和三八年九月一八日になした更正決定(以下本件更正決定という)の効力につき検討するに、被控訴人は控訴人両名を相手として昭和三八年三月二二日別紙第一物件目録記載の如き表示をした土地につき武蔵野簡易裁判所に占有妨害排除の仮処分申請をなした(同庁昭和三八年(ト)第一二号事件)ところ、同裁判所は、即日、「別紙第一物件目録記載の不動産に対する被控訴人(債権者)の占有を解き被控訴人の委任する東京地方裁判所八王子支部執行吏にその保管を命ずる。執行吏は現状を変更しないことを条件としてこれが使用を被控訴人に限り許容しなければならない。この場合執行吏はその保管にかかることを公示するため適当の方法を執らねばならない。控訴人等(債務者)は右土地に立入り被控訴人の使用を妨害してはならない。」旨の仮処分決定をなし、次いで被控訴人の申立により、右決定に明白な誤謬が発見されたとして昭和三八年九月一八日右決定主文の目的物件の表示として別紙第一物件目録記載から別紙第二物件目録記載のとおりに更正する旨の決定をしたことは本件記録により明白である。
ところで……によれば、東京都北多摩郡東村山町大字野口字向台二五八二番の五山林一反八畝四歩(第一物件目録記載の土地、この認定に反する疎甲第一三号証中同番の五山林の面積が四畝〇一歩である旨の記載部分は右疎甲第九号証の記載に照し採用できない。)と同番の六山林六畝九歩(第二物件目録記載の土地)とが東京都の水道用地を隔て、南北に相対して共に存在し、従つて右二筆の土地は全く別個の物件であることを認めることができ、右認定に反する資料はない。そうとすれば、被控訴人が本件仮処分申請の際目的物件として別紙第一物件目録記載の土地を特定表示し、裁判所も亦これに従つて、同様の表示をした以上、武蔵野簡易裁判所の、昭和三八年三月二二日付仮処分決定は、あくまでも別紙第一物件目録記載の土地に対してなされたものであつて、右決定に誤謬があると解し、これを地番、地積、所在地を異にする別紙第二物件目録の土地を対象とする仮処分決定がなされたものとして、民訴法第二〇七条、第一九四条を適用し、更正決定をなすことは許されない。
以上述べたところから明らかなように、後者の土地を対象とする新たな仮処分決定と同一の効果を発生するに至るべき本件更正決定は、民訴法第二〇七条、第一九四条の解釈適用の範囲を遙かに超えた違法無効のものというべく、右更正決定が確定している(本件更正決定に対して即時抗告がなされた形跡はないので、右更正決定は確定したものと認められる)としてもその内容に即した効力を生ぜしめるに由ないものと解すべきである。(長井澄 山口和男 佐藤寿一)